窪田製薬ホールディングス(東京都千代田区)は5月18日、子会社のクボタビジョン(米国ワシントン州)が、特殊な光で目に刺激を与えるアクティブスティミュレーションの効果検証を行い、眼軸長(角膜から網膜までの長さ)の短縮が確認できたと発表した。この技術を生かし、近視の予防や治療に使えるメガネ型デバイスの開発を進める。
近視の多くは、眼軸長が伸び、眼球の中で焦点が網膜より手前になることで引き起こされる。眼軸長は年齢とともに伸びるか成長が止まるが、それを「初めて逆に動かした」のが今回の技術だ。
クボタビジョンは、人種の異なる21〜32歳の男女12人(近視患者)にアクティブスティミュレーションの試作機を使用させ、「人工的な光により、対象眼と比較して眼軸長の短縮を確認した。世界でも前例がない」としている。詳細なテータは論文として発表する。
ただし、一回の治療に数時間かかるため、試作機のような卓上型デバイスでは患者の負担が大きい。このためアクティブスティミュレーションの技術をメガネやコンタクトレンズに組み込み、日常生活の中で無理なく矯正できる環境を整える考えだ。まず「クボタメガネ」と呼ぶスマートメガネを開発し、年内に実証実験の終了と試作機の完成を目指す。スマートコンタクトレンズの開発も検討している。
窪田製薬ホールディングスの窪田良博士(代表執行役会長、社長兼最高経営責任者)は、「近視患者を対象とした検証で予想以上に良好なデータが得られた」と胸を張る。「近視を撲滅することにより、生活の質を高めることはもちろん、近視によって引き起こされる失明に至る合併症を減らせると期待している」。
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