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データセンター市場動向2022 ~市場の拡大と電力問題 | InfoComニューズレター - InfoCom

データセンター市場の規模は引き続き拡大している。Gartnerによれば、2022年の世界のIT投資額は4.4兆ドルに達すると予測されており、インフレ率の上昇やロシアのウクライナ侵攻に代表される地政学的混乱、人材不足にもかかわらず、IT投資の減速はないとみられている。そして、そのうち約2,186億ドルをデータセンターシステムが占め、対昨年度で5.5%成長するとみられており、2023年にもほぼ同等の成長が見込まれている[1]。大手クラウド事業者等によるハイパースケール化は進行しており、拠点数は増加し、規模も拡大している。また、これら事業者による通信分野への進出も進んでいる。一方で、電力供給やグリーン化の観点から、データセンター拡大に歯止めをかけようとする動きも出てきている。

そこで、本稿では、前回(本誌2021年5月号)の拙稿(「データセンター市場動向~ハイパースケール化の進展とエッジ・グリーン化への対応」)に引き続き、強い順風、逆風両方を受けているこの市場に着目し、グローバル、国内の各事業者の動きについて報告するとともに、今後予想される動向や課題についても検討したい。

市場の拡大

データセンター市場は引き続き順調に成長している。前述のとおり市場規模が拡大しているほか、ハイパースケールデータセンターの数も増加している。調査会社Synergy Research Groupの2021年11月の発表によれば、2020年末時点で597だったハイパースケールデータセンターの数は、2021年第3四半期末時点で700に達した。また、国別シェアとして、IT負荷容量(IT Load Capacity)が示されており、米国が49%、EMEAが19%、中国が15%を占めている。ハイパースケールデータセンターの数が急増している一方で、データセンターの平均規模が拡大しているため、それらのデータセンターの総容量がさらに急増しているとされている[2]。NTTグループも2021年10月、グローバルデータセンターのサーバールーム面積を約2割拡大すると発表している[3]

日本でも大規模データセンター開設のニュースが相次いでいる。Equinixは2021年12月、ハイパースケーラーからの需要増大に応えるデータセンターとなるxScaleデータセンター「OS2x」を大阪に開設したと発表した。国内2拠点目となる。また、併せて東京にあるハイパースケールデータセンターの拡大も発表した[4]。ほかにも、千葉県印西市や大阪府箕面市(彩都)などで各社が拡大を進めている。

大手クラウド事業者の動き

データセンターの拡大を支えている大手クラウド事業者は引き続きアグレッシブな動きを続けている。前述のSynergy Research Groupの報告によれば、データセンターの設置面積が最も広いのはAmazon、Microsoft、Google、IBMの4社であり、データセンターの容量で見ると、Amazon、Microsoft、Google、Facebookが上位を占めるほか、中国のByteDance、Alibaba、Tencentが最も急速に成長している。ここではAmazon、Microsoft、Googleのデータセンター、エッジコンピューティングへの展開状況や関連する動向について触れる。

AWS(Amazon Web Services)は、2022年5月現在、26のリージョン、84のアベイラビリティゾーンを有しており、8のリージョンが展開予定となっている。エッジコンピューティングに関しては、300以上のエッジロケーションと13のリージョナルエッジキャッシュを展開している[5]。同社は2020年に米国でAWS Wavelength Zone を開設し、その後日本、韓国、英国、ドイツにMECソリューションを拡大してきたが、2022年4月にはBell Canadaと提携し、新たにトロントでもAWS Wavelength Zone を開設すると発表した[6]

また、英国BTのデジタル部門は2022年5月、「レガシーインフラと社内アプリケーションをクラウドファーストの新しいアーキテクチャーに変革する取り組みの一環」としてAWSとの5年契約を発表している。この発表では、BTがレガシーアプリケーションや関連インフラ、データセンターを廃止するとされており、AWSによる通信事業への関与がますます進むことになる[7]

Microsoftは、2022年5月現在、60以上のリージョンを展開しており[8]、2021年4月の発表によれば、200以上のデータセンターを有し、当分の間、50~100のデータセンターを毎年追加予定としている[9]。また、2021年11月には、スウェーデンで、「持続可能なデータセンター」を開設したと発表した。このデータセンターは、二酸化炭素排出量の削減、廃棄物ゼロ認証の達成と、100%カーボンフリーのエネルギーでの運用に取り組んでいる[10]。2022年3月にも、フィンランドでの新たなデータセンターリージョンの開設を発表しており、こちらではデータセンターの排熱が地域暖房などに活用される予定である[11]

エッジコンピューティングに関しては、同社は2021年1月、AT&Tと連携してアトランタでAzure Edge Zoneの「プライベートプレビュー」を開始したことを発表した。AT&Tネットワーク・エッジ(ANE)の機能をAzureクラウド・プラットフォームに活用することで、強力かつ軽量な新しいコネクテッド・アプリケーションやサービスを生み出すことができるとしている[12]。また、AT&Tとは、AT&Tの5G機能や人材をAzureに移行する取り組みも進めており、2022年1月に進捗状況を発表している[13]

Googleは、2022年5月現在、32のリージョン、97のゾーンと149のネットワークエッジロケーションを有している[14]。エッジコンピューティングに関しては、2022年5月に、ドイツテレコム(Deutsche Telekom)が2018年初めに立ち上げたエッジコンピューティング管理の専門ベンチャーであるMobiledgeXを買収したことが報じられている[15]。MobiledgeXはドイツテレコムに加えTelefonica、Orange、BTなどと事業を展開していたほか、NTTドコモとも実証実験を行ってきた。Googleは、MobiledgeXをオープンソース化する計画とされているが、MobiledgeXのCEOはGoogleには移らず辞任した模様であり、サイトは閉鎖されており(2022年5月11日現在)、今後の動向は不明である。

このように各社の動きを見ると、さまざまなクラウドサービスが順調に拡大していることに加え、少なくとも現時点では、エッジコンピューティングにおいても大手クラウド事業者が強力なイニシアティブを持っていることが見て取れる。

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・建設抑制
・電力系統への貢献
・まとめ

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部抜粋して公開しているものです。

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