JA県経済連果樹花き課などによると、輪ギクやスプレーギクは特に夜間の温度が高すぎると成長が鈍る。今年は主産地の南薩地区で7月に入って熱帯夜となる日が多く、想定よりも10日ほど出荷が遅れている。全国でもほぼ同様の傾向だという。
菊農家22戸でつくる枕崎市大塚花き生産者協会の楠剛会長(50)は「盆までに少しでも出せるように、ハウス内に打ち水をするなどしているが、予定の半分しか収穫できていない」。JAいぶすき山川花き部会の浜田竜典部会長(57)も「開花を遅らせることはできても、早めるのは難しい。成長が遅れているだけでなく、品質にも影響が出ている」と話す。
出荷量の減少を受け、県内花き市場の菊類相場は高値傾向が続く。鹿児島園芸花市場(鹿児島市)、鹿児島花市場(同)での8月第1週の競り結果をみると、相場の目安となる中値で輪ギクは前年比2~7割高、スプレーギクは品種によって2倍前後まで上昇するものもあった。
鹿児島花市場を運営する県花卉(き)園芸農協業務部の野中忍部長は「これだけの高値は極めて珍しい。菊類の出荷量は7月からの累計で例年より2割程度減っている」と説明する。今年は旧暦を用いる奄美の盆が新暦とほぼ重なったのに加え、急激な円安で輸入花が減っていることも品薄に拍車をかけているという。
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