先週、米銀行業界のストレスがウォール街に混乱を引き起こした。事態を悪化させた要因とされるのがおなじみの悪者、「低い流動性」だ。
約20年にわたり資金の流れを研究してきたゴールドマン・サックス・グループのスコット・ルーブナー氏は、S&P500種株価指数先物の取引のしやすさは過去2週間で88%低下したと算出した。同様の指標で米国債先物の流動性も83%低下した。ルーブナー氏の分析によると、両指標とも新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)危機に見舞われた2020年3月以来の低水準となった。
現在見られる買値と売値の広いスプレッドに基づくと、トレーダーが市場を動かすことになる米国株先物売買は200万ドル(約2億6900万円)強。少なくとも月初のころのオーダーブックは1700万ドル相当だった。
相場に影響を与えずに株式や債券を売買するのが難しくなっている背景には、 シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のタカ派的な発言がウォール街のトレーダーを動揺させたことがある。
ルーブナー氏は顧客向けリポートで「過去20年間にわたって資金の流れを追ってきたが、資産クラス全体のこうした動きの一部についてその大きさに衝撃を受けている」と指摘した。
ルーブナー氏によると、利回りを1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)動かすのに必要な資金で見た米10年国債先物の流動性は今月、11万4000ドルから1万9000ドルに落ち込んだ。
原題: Goldman’s Rubner ‘Shocked’ by Big Market Moves, Blames Liquidity(抜粋)
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