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一律10万円給付 「政府の迷走」は目に余る - 西日本新聞

 あまりにも唐突な方針転換である。危機管理の重要な局面で露呈した「政府の迷走」を憂慮せざるを得ない。

 安倍晋三首相が、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する緊急経済対策の一環で、所得が減少した世帯に限って30万円を給付するとしていた目玉政策を撤回し、国民1人に一律10万円を支給すると表明した。

 過去最大の緊急経済対策と財源になる2020年度補正予算案を政府が臨時閣議で決定したのは先週7日のことだ。来週20日からは国会で補正予算案の審議も始まる段取りだった。

 そのさなかに降って湧いたような異例の政策転換と補正予算案の組み替えである。公明党の山口那津男代表が安倍首相との直談判で強く申し入れ、首相と自民党側が受け入れた。

 「1世帯30万円」は当初から評判が悪かった。給付条件が複雑で分かりにくい。受給世帯が2割程度に限定される。そもそもなぜ世帯単位なのか-。

 これに対し「国民1人10万円」は公明党の主張だった。自民党内にも推す声があったが、野党も同様の提案をしていたことから見送られたとみられる。

 雲行きが怪しくなったのはメディアの世論調査で国民に不評と判明してからだ。共同通信社の世論調査によると、条件付きで1世帯30万円を給付する政府案に関して「一律に給付すべきだ」は6割を超え、「妥当だ」の2割を大きく上回った。

 同じ調査で首相が7日に7都府県を対象に出した緊急事態宣言についても「遅過ぎた」が8割を占めるなど、政府の新型コロナ対応に厳しい世論が浮き彫りになった。内閣支持率が続落し、不支持率が支持率を上回ったことも政権側の不安材料となったことは想像に難くない。

 国民1人に一律10万円支給となれば、歓迎する国民も少なくはないだろう。ただ、新型コロナの影響で収入が減った世帯に限定して支給するという政策の性格は極めて曖昧になる。

 1世帯30万円の支給で補正予算案には約4兆円を計上していたが、全国民に10万円だと、単純計算で12兆円規模となり3倍に膨らむ。この財政支出に見合う政策効果が本当に期待できるのか。政府や与党で綿密に検討した形跡はうかがえない。

 非常事態に即応して前例にとらわれない対応があり得ることは理解できる。いま急ぐべき政策は困窮する弱い立場の人たちへすぐに届く救いの手だ。

 だが予算案の組み替えだけで国会審議は1週間程度もずれ込む見込みだ。いたずらに迷走している時間はない。政府、与党は迅速かつ的確な対応で国民の信頼を回復すべきである。

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April 18, 2020 at 08:43AM
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