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社説 緊急事態宣言 危うさにあらためて目を - 信濃毎日新聞

 官邸主導の政治の混乱を覆い隠そうとする思惑が透ける。政権の姿勢が厳しく問われなければならない。

 緊急事態宣言が全国に拡大された。運用の余地が広い特別措置法を根拠に、人権や自由が不当に制限されることがないか。あらためて目を凝らしていく必要がある。

 感染の拡大を防ぐため、外出の自粛要請などで市民の行動や活動が一定の制約を受けるのはやむを得ないとしても、行き過ぎた制限は許されない。例外的な措置が不必要に長引き、常態化することも避けなければならない。

 新型コロナウイルス感染症に対処できるように改定された特措法はもともと、強力な人権制限法になりかねない危うさをはらむ。宣言を発令する基準が曖昧な上、緊急措置についても、具体的な要件は専ら政令に委ねられている。

 とりわけ気がかりなのは、多くの人が集まる施設の使用や、催事の開催を制限できることだ。公権力の恣意(しい)的な判断によって、集会の自由、意見表明の自由が侵される恐れがある。

 もう一つは報道への介入だ。NHKは指定公共機関に条文で位置づけられ、政府から「必要な指示」を受ける。指示の内容は限定されていない。民放、新聞などの報道機関を政令で指定公共機関に加えることも法律上可能で、報道の統制につながりかねない。

 ここへ来て、権限の強化を図る動きが出ている。西村康稔・経済再生担当相は、より強制力を伴う仕組みを導入する法整備の検討もやぶさかではないと国会で答弁した。憲法上の議論も必要ではないかと述べている。

 野党の側にも前のめりな姿勢が目につく。立憲民主党などの共同会派は、知事が事業者に業務停止を命令できるようにし、罰則も設ける法改定の原案をまとめた。

 法の根本的な問題点に目をつむったまま、権限を拡大することは認められない。まして、改憲の議論と結びつけるのは、どさくさ紛れ以外の何ものでもない。憲法に緊急事態の条項がないことが、対策を妨げているわけではない。

 非常時に政府を批判すべきでないという声も聞こえる。けれども、平時には許されない権限の行使が可能な状況だからこそ、公権力への監視を強める必要がある。

 沈黙すれば、権力の独断専行を止めるすべを失う。情報を開示して意思決定の過程を明らかにし、緊急措置の根拠を丁寧に説明するよう、政府、自治体に求めていくことが欠かせない。

(4月18日)

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April 18, 2020 at 07:07AM
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