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ESGにキッズの目 企業姿勢、未来の投資家に響け - 日本経済新聞

パナソニックは熱中症予防の観点から子乗せ電動自転車には日よけをつけた

パナソニックは熱中症予防の観点から子乗せ電動自転車には日よけをつけた

ESG(環境・社会・企業統治)の中でも「S」=社会に対する企業活動の内容は多岐にわたる。その1つとして新たに注目を集めそうなのが「子ども」に配慮した商品開発や企業経営だ。マーケティングやブランディングの一環として取り組んできた企業も多いが、発展させられれば投資の評価基準になりうるポテンシャルを持っている。

■交通事故から子どもを守る

マツダが2019年5月に投入した「マツダ3」の新型車。一見、子どもと関係のなさそうな自動車にも工夫が積み重なっている。右左折時に視界を隠すフロントガラス両脇のピラー(柱)は、視線が常に途切れないよう形状を見直し、運転手が歩行者の飛び出しなどに気づきやすくしている。ワイパーもボンネット内に収納できる設計で、運転席の視界を広くとれるようにしている。

警察庁によると昼間に歩行者の交通事故が最も多いのは5~9歳の子どもだ。「子どもを含め小さな対象も運転手の目に入るよう、厳格な基準を設け設計に取り組んでいる」(マツダ)。

「マツダ3」は運転席からの広い視界が評価されキッズデザイン賞を受賞した

「マツダ3」は運転席からの広い視界が評価されキッズデザイン賞を受賞した

こうした子どもの安全・安心に配慮した「キッズデザイン」が徐々に定着しつつある。NPO法人のキッズデザイン協議会(東京・港)は毎年、応募企業の活動や商品を顕彰する「キッズデザイン賞」を展開。子どもの「安全・安心に貢献する」など3つの軸で評価している。19年度までに計13回、約3000件が受賞している。同協議会は「子どもは将来の消費者であり生産者。消費者も投資家も企業がそうした視点を持っているかを考え、製品やサービスを選択するようになっている」と指摘する。19年度に受賞したマツダ3をはじめ、子どもの安全性に着目した商品設計は徐々に浸透している。

■自転車に日よけ、熱中症防止

例えば、子育て世代にとって通勤途中の幼稚園・保育園の送り迎えや子どもを連れての買い物など自転車は欠かせないアイテムだ。ただ、親子双方に使い勝手が良く、かつ安全性が高い自転車となると選択肢が限られる。

パナソニックの子乗せ電動アシスト自転車「ギュット・アニーズ」は2018年度のキッズデザイン協議会会長賞を受賞。同社が得意とする電動アシスト自転車の機能に、子を乗せ降ろししやすく親が運転しやすい設計に配慮している。ベビー用品大手のコンビと共同開発したモデルも拡充し支持を集めている。

ギュットシリーズとして19年に発売した「クルームR」では初めて子どもを乗せる席に日よけを標準搭載した。直射日光の下で走ると子どもの頭部には熱が集まりやすく、夏場は熱中症の懸念もあった。パナソニックによると日よけを使うとヘルメット付近の表面温度の上昇を最大約19度抑えられ、子どもの快適性を高めたという。

座席の頭部のまわりはコンビが独自開発した衝撃吸収素材を使ったクッションが覆う。シートベルトは子どもの手を通しやすくし着席しやすく、座席は汚れをさっとふきやすい素材とし、子どもがストレスなく乗れる設計にとことんこだわる。

企業経営と一体となった取り組みも少なくない。日本マクドナルドホールディングス(2702)は医療機関で闘病する子どもと、両親が一緒に過ごせる宿泊施設を提供している。「ドナルド・マクドナルド・ハウス」と呼ばれるこの施設は同社の支援で1996年に設立した財団が運営。19年時点で国内で11施設を展開しており、ハッピーセット1つにつき50円を寄付する「マックハッピーデー」をはじめ店頭から1億円を寄付している。

ヤマハ発動機は親子で実際のエンジンを分解、組み立てに取り組む教室を毎年開いている

ヤマハ発動機は親子で実際のエンジンを分解、組み立てに取り組む教室を毎年開いている

ヤマハ発動機(7272)が19年にキッズデザイン賞を受賞した「親子エンジン分解組立教室」は小学3~6年生の児童とその保護者を対象に、静岡県磐田市の本社で毎年開催している。本物の小型エンジンや工具を使って実際の分解、組み立てを体験するプログラムで18年12月末までに計1万4000人以上が参加してきた。理科離れ、機械離れが進む中で「ものづくりの喜びを実感して、将来につなげて欲しい」(同社)と02年から続ける活動について、改めて賞に応募した。

■新たなESG投資判断の候補

現在はこうした子どもに配慮した企業経営について、機関投資家が積極的に投資判断の基準として評価している訳ではない。ただ、日本総研の村上芽シニアアナリストは「ESG投資家も独自の投資戦略を模索する中で、子どもに配慮した企業経営が評価対象となる可能性は十分にある」と話す。ただそのためには「より包括的で定量的な活動の把握やリポートが必要だ」(同氏)

コロナ禍で株式相場も大荒れが続く中で、長い目線で企業評価に軸足を置くESG投資には個人投資家からも注目が集まっている。温暖化対策や人権問題といったこれまでの枠にとどまらない新たな評価軸が生まれる余地も広がりそうだ。

(江口良輔、川崎なつ美)

「みんなのESG」は日経ヴェリタスとの連動企画。世界的に関心が高まるESGについて、知っておきたい最新トレンド、投資マネーの動き、先進企業など様々な観点から取り上げます。

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May 05, 2020
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