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一方、大手外食企業の参入も相次ぐなど、からあげ専門店の競争は激化し、「高級食パン」「タピオカ」ブームと同じように淘汰が進むのではとの見方も多い。足元では飲食店の営業規制が明け、テイクアウト需要は一時期よりも落ち着いており、からあげ業界はいわば正念場をむかえている。
「からあげグランプリ」を毎年主催し、からあげ文化の発信などを行う一般社団法人日本唐揚協会の八木宏一郎専務理事に、今後のからあげ業界についてなどを聞いた。
日本唐揚協会の八木宏一郎専務理事
――専門店増加による競争で生き残るには
からあげの基本である「柔らかくてジューシー」「鶏肉に臭みがない」という2つのポイントが守れていない専門店は淘汰されます。
そのうえで個性を出す必要があります。からあげ文化が盛んな大分県出身の専門店のように、もも肉のほかに、むね肉や手羽先、なんこつなどさまざまな部位を使ってバリエーションを持たせる。もしくは、子どものおやつでも楽しめるように、ソースで味のバラエティを増やす。シンプルなからあげ以外にも、ソースやスパイスを工夫することで、「チキン南蛮」のようにヒットメニューは生まれます。
――今後のからあげ業界をどのように見ているか
基本に忠実でおいしいからあげを提供できてない店では淘汰が進むものの、からあげ文化で先行している大分県や福岡県と比べると、東京にはまだまだ市場成長の余地があると考えています。
都道府県ごとに集計している、10万人あたりのからあげ専門店の店舗数は、東京は2018年に0.85店舗だったものが、2022年には3.55店舗まで伸びています。一方、大分県は18年に10.42店舗だったものが、22年に18.42店舗。福岡県でも18年の1.37店舗から、22年の10.24店舗まで大幅に拡大しています。
東京は食のジャンルが豊富なので、一概に言えないかもしれませんが、少なくとも10万人あたり5店舗までは飽和状態でないと考えます。東京だとまだ約1.5店舗分の余地があるので、今後も店舗数は伸びるとみています。実際に、からあげ専門店が未出店の街もまだたくさんあり、そういった立地を探しているチェーン店は多いです。
夜営業がメインの外食業態がコロナ前の約6割までしか戻っていない状況で、からあげ専門店のテイクアウトが中食の受け皿になり得ることを考えると、10万人あたり5店舗でも少ないかもしれません。
ただ、東京は家賃が高いので、「からあげ専門店」という形が正解なのかは分かりません。おいしいからあげがテイクアウトできるのであれば、居酒屋などでもいいと思います。
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――からあげ専門店の今後の課題は
今後の課題は、原料高や円安、ロシアのウクライナ侵攻などを含めた社会情勢による影響です。油や粉の価格は高騰し、鶏肉も上昇傾向です。日本が世界で買い負けるようになっていけば、輸入品が入らなくなったり、高騰したりすることで、国産にしわ寄せがいきます。牛肉と豚肉ではすでに起きており、ここまで比較的安定してきた鶏肉も、じわじわと価格が上がっていくのではないでしょうか。
ですが、家庭でからあげを作る人が増えるかというと、そうはならないと思います。外で買うおいしさと手軽さを一度知ってしまった人たちは、これからも買い続けると考えるからです。
今後のからあげ業界は、外食控えの傾向が長引くことで引き続き需要が見込めますが、原料高や社会情勢の変化に、いかに対応していくのかが当面の課題です。
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