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【杉村富生の短期相場観測】 ─大荒れの株式市場! この局面での投資作戦は? | 市況 - 株探ニュース

経済評論家 杉村富生

「大荒れの株式市場! この局面での投資作戦は?」

●世界的な利上げラッシュに脅える!

 世界の金融マーケットが大波乱に陥っている。いや~、ハリケーン、台風、モンスーンが同時に上陸したような状況だ。FRB(米連邦準備制度理事会)に続き、イングランド銀行、スイス国立銀行が利上げを実施するなど、利上げラッシュである。急激な金融引き締めが景気を失速させる可能性(オーバーキル)があろう。

 FRBは3月に0.25%、5月に0.5%、6月に0.75%の利上げを断行、7月は0.5~0.75%の利上げを行う方針を明らかにしている。9月は「休止」といわれていたが、0.5%の利上げに踏み切るだろう。それほど、5月の米CPI(消費者物価指数)の上昇率8.6%は重い。各国中央銀行の政策は「インフレ制圧優先」である。

 結果として失業率の上昇、資産価格の下落はやむを得ない。FRBのウォラー理事は「物価目標2%に近づくまで利上げの手を緩めない」と語っている。現実には不可能な数字だ。しかし、先のバイデン大統領とパウエルFRB議長との会談では「インフレを何とかしろ」と、ねじ込まれたと思う。

 実際、その直後、ブレイナード副議長などFRB高官の発言は超タカ派にシフトした。さらに、QT(量的金融引き締め)が始まった。QTの規模は6~8月が月間475億ドル、9月以降は同950億ドルだ。計算上は1年間に1.1兆ドル、3年間では2.5兆~3兆ドルの資金回収(FRBの総資産圧縮)になる。

●ここは定石通り、突っ込み買いのチャンス!

 こうした状況下、16日のNYダウは741ドル(2.42%)安の2万9927ドルと急落、3万ドルの大台を割り込んだ。ナスダック指数は453ポイント(4.08%)安の1万0646ポイントだった。ハイテク系の多いナスダック市場の下げがきつい。昨年11月22日の高値(1万6212ポイント)比の下落率は34.3%に達する。

 経験豊富な投資家の皆さんは1981年の当時のレーガン大統領とボルカーFRB議長の会談を想起したに違いない。第2次オイルショック後の狂乱物価の最中だ。インフレファイターと称されたボルカー議長は政策金利を18%まで引き上げた。当然、株価は暴落する。NYダウは1982年8月12日に、776ドルの安値をつけている。

 しかし、その後は利下げに加え、レーガノミクス(偉大なアメリカの再構築戦略)の推進によって、黄金の日々を迎えた。NYダウは今年1月5日に、3万6952ドルの史上最高値を示現した。実に、安値比47.6倍である。さて、今回はどうか。もっとも、現在は苦境の入り口にすぎない。投資家にその覚悟はあるのだろうか。

 この局面での投資作戦、戦略は? 基本は変わらない。逆行高の強い銘柄を攻める、深押し銘柄の突っ込み買い、ないしは「嵐のときは動くな」の教えに従って様子を見る、の三択だろう。強い銘柄ではVチューバーメタバース、Web3.0など次世代の技術分野のトップ企業のANYCOLOR <5032> [東証G]に注目できる。

 深押し銘柄では2013年の4056円を高値に、長期低迷→出直り機運のJトラスト <8508> [東証S]、昨年秋を高値に株価が半値以下、時価総額が約8000億円吹っ飛んだ日本M&Aセンターホールディングス <2127> [東証P]はどうか。2023年3月期は史上最高決算と予想されている。突っ込み買いのチャンスだろう。

2022年6月17日 記

株探ニュース

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