現地紙「ポデール360」(5月5日)によれば、カオア・チェリー(注1)は同日、同社のブラジルにおける自動車電動化計画に基づき、サンパウロ州ジャカレイ工場の生産工程などを近代化するため、同工場の生産を一時停止すると発表した。
2023年末までに、ブラジルで販売する全ての自社製品をハイブリッドもしくは電気自動車にすることを目指す。ジャカレイ工場の生産一時停止に伴い、カオア・チェリーは2022年第2四半期からゴイアス州にあるアナポリス工場の生産能力を強化することで埋め合わせを行い、2022年の同社の生産台数目標である6万台を維持する(5月5日付現地紙「ポデール360」およびカオア・チェリー公式発表)。
カオア・チェリーは併せて、ジャカレイ工場で働く労働者が所属するサン・ジョゼ・ドス・カンポス冶金工場労働組合の代表者と、従業員の解雇に伴う諸条件について交渉中、説明していた(5月5日付カオア・チェリー公式発表)。ただ、5月25日付の同組合の公式サイトによれば、624人の従業員のうち、580通の解雇通知が届いた(注2)。
その後、ジャカレイ市第2労働裁判所は5月27日、カオア・チェリーによる解雇措置について「集団的な解雇は社会的インパクトが大きいため、(企業から従業員への)一方的なものではなく、労働組合と交渉すべき」で、「交渉がまとまらない場合は裁判で解決すべき」だとの判決を下した。
ブラジル自動車流通業者連合(Fenabrave)によれば、2021年(通年)のブランド別国内販売シェア(乗用車)で、カオア・チェリーは2.55%を占め、上位10位となっている。
(注1)中国自動車メーカー奇瑞汽車と、韓国の現代自動車の販売権などを有するCAOAの合弁会社。
(注2)5月30日付現地紙「インフォマネー」によれば、カオア・チェリー側は「580通ではなく、446通の解雇通知」と述べている。
(古木勇生)
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