VRに強気のメタ、年間2兆投資も
テック株低迷によりGAFAMにも大きな影響が出ているが、メタのVR・AR市場に対する強気姿勢は変わっていないようだ。Protocolが2022年5月13日に公開したマーク・ザッカーバーグ氏への独占インタビュー記事で、ザッカーバーグ氏が年間100億(約1兆3,200億円)~150億ドル(約2兆円)をReality Labsでの研究開発に投じる意向を明らかにした。
Reality Labsとは、メタのVR・AR研究開発を担う部門のこと。世界中に12拠点あり、各拠点では研究者、デベロッパー、エンジニアが日々研究開発を行っている。
ザッカーバーグ氏が年間2兆円に上る巨額の投資資金をVR・AR開発に投じるという強気の姿勢は、同社がすでにVR市場で強い基盤を構築しており、将来的に年間2兆円を超えるリターンを生み出すことへの自信の表れと見て取れる。
VR市場は数年前までソニーのPlayStation VRが最大シェアを占めていたが、メタが2020年にMeta Quest 2をローンチして以来、その様相は大きく変化した。
Statistaのまとめによると、2018年のVRデバイス市場で最大シェアを占めていたのはソニー。実に43%という市場シェアを誇っていた。当時のメタ(フェイスブック)のシェアは、19.4%とソニーの半分以下だった。これに台湾ブランドHTCが12.9%で3位にランクインする情勢だった。
2019年も順位は変わらず1位ソニー(市場シェア36.7%)、2位オキュラス(28.3%)、3位HTC(13.3%)だった。
メタがVRヘッドセット市場でトップになった理由
順位が大きく変動したのは、Meta Quest 2が登場した2020年。当時、IDCのデータが示すところとしてFubabcesOnlineが伝えたところでは、この年フェイスブック(オキュラス)の市場シェアが38.7%、ソニーのシェアが21.9%とこれまでの1位と2位が逆転したことが明らかになったのだ。コンソールやパソコンへの接続が必要なく、スタンドアロンで機能するMeta Quest 2は、コロナ禍の巣ごもり需要を追い風に、2021年も販売を伸ばし、IDCの発表によれば、現在メタのVRデバイス市場におけるシェアは78%にまで拡大している。
2021年のVR・ARヘッドセットの出荷台数は1120万台と、前年比92%以上の伸びとなったが、その大半がMeta Quest 2によるものだったと推察できる。
ゲームプラットフォームSTEAMの統計でも、同プラットフォームで利用されるVRヘッドセットのうち、Meta Quest 2の比率が47.99%と他のヘッドセットを大きく上回っていることからも、その普及具合がうかがえる。
【次ページ】VRヘッドセット市場、今後はメタバース発展で波乱も
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