【ジッダ(サウジアラビア西部)=大内清】中東歴訪中のバイデン米大統領は15日夜、サウジアラビア西部ジッダで同国のサルマン国王やその息子で実質的指導者のムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談、双方はロシアのウクライナ侵攻で高騰するエネルギー市場の安定化を図るなどとする共同声明を発表した。
バイデン氏は2018年に起きたサウジ人記者殺害をめぐり同国を批判してきたが、会談は米サウジ関係の「リセット」をアピールする場となった。
バイデン氏は16日、湾岸協力会議(GCC)加盟国にエジプトなど3カ国を加えた首脳会議に出席し石油増産などを協議。その後、帰国の途に就く。
15日に記者会見したバイデン氏は「数週間のうちに世界の石油供給にさらなる進展があるだろう」と述べ、石油増産への働きかけに手応えをみせた。「中東の空白地帯を中国やロシアが埋めることは許さない」とも強調。サウジの軍事介入で人道危機に陥ったイエメン内戦の停戦延長や域内防衛態勢での協力で合意したほか、イランの核保有阻止の重要性で一致した。
バイデン氏によると、同氏は皇太子との会談の冒頭で、サウジ人記者殺害事件に触れ、皇太子に責任があるとの考えを伝えた。皇太子は「個人的な責任はない」と述べたという。
同事件についてバイデン政権は21年、皇太子が殺害を承認していたとする報告書を公表し、サウジとの関係が悪化。しかしバイデン氏はこの日、会談に先立って会場の宮殿入り口で出迎えを受けた皇太子と、拳を合わせるグータッチであいさつを交わし和解を演出した。握手は避けた。
サウジは、イスラエル発着の民間機が自国上空を飛行するのを認め、紅海の要衝ティラン海峡で航行の自由を保障することも確認。バイデン氏は「(サウジとイスラエルの)広範な関係正常化につながることを望む」と述べた。
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