債券市場はインフレリスクを過度に軽視しているとの懸念が強まっている。
ここ2カ月における利回りの急低下は、主としてインフレ期待の低下が背景にある。つまり、実質金利は名目金利ほど低下していないことを意味する。この状況は、インフレ防衛の需要が後退していることを反映している。
債券全体に目を向けても、米政策金利のピークが5%に届かない水準でもリセッション(景気後退)を引き起こすのに十分で、今年下期に合計0.5ポイントの利下げが必要になるとの見方が示唆されている。
ニューエッジ・ウェルスのシニアポートフォリオマネジャー、ベン・エモンズ氏は「ここ数カ月において投資家の間ではインフレの問題は過去のものになったとの確信が広がっており、債券を買う動きが急激に強まっている」と指摘。中国の経済活動再開がインフレをあおる場合、あるいはリセッションが現実化しない場合は問題となりそうだ。
インフレ期待を反映するブレークイーブン・レートは、10年物が先週2.09%と過去1年で最も低い水準を付けた。5年物も2.13%に下げ、昨年の最低水準まであと1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以内に迫った。

出所:ブルームバーグ
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「債券のクリプトナイト(スーパーマンの力を吸い取ってしまうとされている物質)はインフレだ」と指摘。「インフレのピークは過去のものになったというのがわれわれの論理だ。年央ないし後半までに経済が本格的に弱含み、インフレが徐々に消失する兆候が見られるとわれわれは予想している。経済が既に減速している段階で多くの引き締めがなお打撃を与える状況を迎える。現時点で債券に弱気になる理由は見当たらない」と述べた。
そうした想定を背景に、米国債市場全体では今年これまでのリターンがプラス3.1%と、昨年のマイナス12.5%から記録的な急回復を見せている。名目金利は全年限で大きく下げ、特に5年債では低下が顕著だ。
ただインフレに関して反対の見方をする向きもあり、JPモルガン・チェースのインフレストラテジスト、フィービー・ホワイト氏は19日付のリポートで、ブレークイーブン・レートについて「再び顕著に下がっているように見受けられる」と記した。
また米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は20日、インフレは「奇跡のように消え去ることはない」と述べ、インフレが急速に鈍化するという金融市場の見方は楽観的過ぎるとの認識を示した。
ただ投資家が考え直しつつある兆候も見られる。先週実施された10年物インフレ連動債(TIPS)入札では需要が堅調となった。最高落札利回りは1.22%と応札締め切り時点の入札前取引(WI)水準を約4bp下回り、需要が予想を上回ったことが示唆された。
原題: US Bond Market Flouting Inflation Looks Increasingly Vulnerable(抜粋)
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