債券市場はやっと、金利に関する米連邦準備制度のメッセージを受け入れたが、株式投資家は総じて、無視し続けている。
先週後半はセンチメントが悪化したものの、株式市場は引き続き、過去において繰り返し相場上昇を妨げた金利上昇という現象に抵抗している。
当局者のタカ派発言と強い経済指標を受けて米国債利回りは上昇、トレーダーは米政策金利のピーク予想を引き上げたが、S&P500種株価指数はわずか0.3%安、ナスダック100種は0.4%高で週を終えた。
過去のデータに基づくと、2年物米国債利回りの上昇幅はナスダック100種の5-10%下落をもたらすほどのものだとJPモルガン・チェースのマルコ・コラノビッチ氏が指摘した。
しかし、株式市場の動きは債券市場の新たな売りという方向と乖離(かいり)した。この状態は持続不可能な可能性がある。
過去2週間にテクノロジー株を買い増したヘッジファンドや、昨年の株・債券同時安で打撃を受けた分散ポートフォリオ戦略にとって暗雲だ。
ゴールドマン・サックス・グループのポートフォリオ戦略向け資産配分責任者、クリスチャン・ミュラーグリスマン氏は「昨年と似たような状況になることが大きなリスクだ。高いインフレリスクとマクロのボラティリティー上昇が重なれば株式と債券は同時に下落し得る。今回の強気センチメントへの転換後にわれわれが心配するのは、60・40戦略から資金が流出することだ」と話した。
年初は株式と債券が同時に上昇したが、雇用や住宅、小売りの強いデータおよび当局のタカ派発言を受けて2月に入り米国債は急落。一方、株式はほぼ横ばいで推移し好調だった1月の上げを維持している。
しかしウェルス・エンハンスメント・グループのファイナンシャルアドバイザーでシニアバイスプレジデントのニコール・ウェブ氏はこの状況が続くことに「当社は強気ではない」と言う。近い将来に米金融当局が政策を転換するとは考えていない」と、ブルームバーグのポッドキャストで述べた。
投資家は年初からの株価上昇に「振り回されないように注意しなければならない」と警鐘を鳴らし、「ビッグネームの中には40%、50%、70%上昇した銘柄もある。この大きな変化の影には素晴らしいパフォーマンスに乗り遅れることへの恐怖(FOMO)が幾らかあるだろう」と指摘した。
株式市場にも亀裂が見え始めている。テクノロジー株中心のナスダック100種は16、17両日で2.6%下落し、信用市場の高リスク部分には若干のディストレスの兆候が表れた。上場投資信託のiシェアーズiBoxx高利回り社債ETF(HYG)とSPDRブルームバーグ高利回り債ETF(JNK)はいずれも今週下落した。
金融当局者は無制限な株価上昇が消費と物価高をあおる可能性があると考えがちだ。現在のところ米国株と米経済はともに順調だが、好循環が行き過ぎれば問題となり得る。金融市場の堅調が消費を支える一因だと見なされるようになればなおさらだ。
投資家は今年後半について、景気は堅調を維持しインフレは急速に低下するというゴルディロックス的な展開を期待しているが、ミュラーグリスマン氏はそれは恐らく間違いだと言う。ゴールドマンのエコノミストらは米連邦準備制度が経済をソフトランディング(軟着陸)させることは可能かもしれないが、インフレを抑えるためには成長減速が必要だと考えている。
市場は金融当局がより長期にわたって景気抑制的な政策を推進する一方で経済成長が持続する「ノーランディング」のシナリオを想定しているが、「当社は全くそう思わない。それは少し楽観的過ぎる」とミュラーグリスマン氏は述べた。
ゴールドマンはリスク資産について、プットオプション購入や現金をオーバーウエートにするなどのディフェンシブ姿勢を勧めるとともに、債券についてはアンダーウエートを推奨している。
「市場はインフレと金利の両方をミスプライスしている。ここから先は、成長とインフレの両方に、期待外れの恐れがある」とミュラーグリスマン氏は指摘した。
原題: Stock Market Is Baffling Wall Street as Hawkish Fed Lashes Bonds(抜粋)
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