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日本酒が海外市場で売り上げ伸ばす、その理由は? - BBCニュース

スーザン・ホーニクウィル・スメイル 

Sakes at bar and restaurant Ototo in Los Angeles

画像提供, Wyatt Conlon

世界各地で日本酒が新しいファンを集めている。しかし日本国内では日本酒への関心が下がっているという。

アメリカで日本酒の小売りサイト「TippsySake.com」を運営する伊藤元気さんは、日本市場での日本酒の売り上げ減にはさまざまな要因があると話す。

「日本での日本酒消費は、さまざまなアルコール飲料が手に入れられることや(中略)消費者文化の西洋化などで、大きく落ち込んでいる」と伊藤さんは言う。

伊藤さんはさらに、日本では「二日酔いの原因になる添加物が多く入っている」安価で低品質な製品によって、日本酒の評判が損なわれていると指摘した。

それでも日本酒は今も、日本の代表的な飲み物とされる。しかし現在、アルコール飲料の消費量1位はビールだ。さらに、焼酎やウィスキー、ワイン、ハイボールなどの人気に押し負け、日本酒の売り上げはさらに減っているという。

日本酒の売り上げの落ち込みは歴然としている。農林水産省によると、1973年から2020年の間に年間の国内販売量は75%減少。ビール酒造組合によると、2021年の国内市場での需要は、過去10年と比べて30%縮小したという。

しかし、全国に1100件以上ある酒造にとって、一筋の光がさしている。それは海外で続く堅調な売り上げだ。日本酒造組合中央会のデータでは、2021年の日本酒輸出高は402億円。ここ12年、毎年最高記録を更新しているという。

Genki Ito

画像提供, Tippsysake

海外での成長を促しているのは何か? 楯の川酒造の6代目、佐藤淳平代表取締役は、日本食と日本文化への評価が上がっていることが一助となっていると話す。

加えて、酒造側が最高級品を輸出に回す施策を続けていることも、成功の一因だと語った。

「海外輸出と高級志向が、将来のマネジメントの鍵になる」

「もちろん国内セクターも重要だが、新しい海外市場に認知されることも、同様に大切だ。日本酒に明るい未来をもたらしてくれると思う」

伊藤さんは、輸出市場向けの品質に注力するのと同時に、酒造が製造レシピを工夫していると説明。酵母を増やす一方でアルコール成分を少し減らすことで、ワインのような味わいにしているのだという。

これにより、日本酒をワイン好きにもアピールできるようになるだけでなく、味付けが濃く、脂質が多く、乳製品中心の西洋料理にも合うようにしていると、伊藤さんは語った。

「このように酸味や料理との相性に注目することで、日本酒の味をデザインし、海外の消費者にもアピールしている」

「酒造は、世界中のワインコミュニティーが、芸術的な日本酒の醸造に最も敏感で評価してくれやすい存在だと考えている」

ワイン愛好家にアピールするやり方は成功し続けているようだ。現在、世界の名だたるワイン・テイスティング大会の多くが日本酒部門を設置している。

日本酒をもっとワインらしくするため、ワインの醸造責任者と協力する酒造も多くある。

楯の川酒造は、日仏企業の「HeavenSake」と提携している。同社を立ち上げたレジス・カミュ氏は以前、シャンパンの「パイパー・エドシック」の醸造責任者だった。

HeavenSakeが売る日本酒は発泡していないが、いわゆるスパークリング日本酒の人気も伸びている。かつて「ドン・ペリニヨン」の醸造最高責任者だったリシャール・ジョフロワ氏も、現在は日本酒を作っている。

Bottles of Heavensake

画像提供, Heavensake

Heavensakeにとっては、シャンパンで何十年と積み重ねたマーケティングや広告のノウハウも、有利に働いていると言われる。

同社のローラン・キュティエ最高経営責任者(CEO)は、「日本酒やそのパッケージ、マーケティングコンセプトに関する国際的なコラボレーションと文化交流が新しい扉を開き、海外でも日本酒を身近にさせ、その成功につながると信じている」と話した。

そのうえで、高級日本酒の海外売り上げに、新型コロナウイルスのパンデミックが寄与していると指摘。「消費者は家に閉じ込められている間、新しい製品や領域を探していた」と語った。

イギリスのワイン評論家ジェイミー・グッド氏も日本酒に詳しく、日本酒検定で1級を保持している。

「海外市場で飛ぶように売れているのは、軽くてフルーティーな日本酒だ。ワインに慣れている人たちになじみやすく、伝統的な日本酒よりも受け入れやすい」と、グッド氏は話す。

「もちろん、日本酒はワインほど主流ではないが、確かにちょっとした流行が来ているようだ」

米ロサンゼルスの日本酒バー「OTOTO(おとうと)」の共同オーナー、コートニー・カプラン氏は、多くの酒造が英語の記事などで「意図的に」ワインに言及していると語る。「そして、猪口やぐい呑みといった伝統的な酒器を用意しようか悩むよりも、ワイングラスで日本酒を楽しんでほしいと話している」。

カプラン氏はさらに、日本酒と日本食以外の食べ物を合わせてほしいと話す酒造もあると述べた。

「たとえば海外向けの『カウボーイ』という日本酒があるが、酒造はこれを、アメリカ人にステーキや牛肉と一緒に飲んでもらえるように作っている」

「ほかにも、世界中で愛されている牡蠣と一緒に出したりもする。ピザにも非常に合う。日本酒には、トマトやパルメザンチーズにも含まれているグルタミン酸というアミノ酸が豊富なので、自然にマッチングする」

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