北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長の妹である金与正（キム・ヨジョン）労働党中央委員会第1副部長が4日に談話を発表し、その中で韓国国内で活動する脱北者団体による北朝鮮向けビラ散布を激しく非難した。金与正氏は談話の中で「（ビラ散布を）阻止する法律でも作れ」と要求した。すると韓国統一部（省に相当、以下同じ）はわずか4時間30分後にそれまで予定になかったブリーフィングを通じ「対北ビラ散布禁止法律案（仮称）」を準備していると発表した。青瓦台（韓国大統領府）も「北朝鮮へのビラ散布は百害あって一利なしの行為だ」と非難した。
金与正氏は労働新聞に掲載した談話の中で、北朝鮮にビラを散布した脱北者らに対し「人間醜物」「雑種犬」「くず」と呼び「そいつらがうろついてたちの悪いことばかりしているので、その主人（韓国政府）に責任を追及すべき時になった」と主張した。さらに「私は本来、悪いことをするやつらよりも、それを見て見ぬふりしてあおり立てるやつの方がもっと憎い」「（南朝鮮当局は）くずたちの道化をやめさせる法律でも作るべきだろう」と指摘した。
金与正氏は「南朝鮮当局が相応の措置を取れないのなら、それが開城工業地区の完全撤去につながるか、ただうるさいだけの北南共同連絡事務所の閉鎖か、あるのかないのか分からない北南軍事合意の破棄になるか、いずれにしてもしっかりと覚悟しておくべきだ」と脅迫した。開城の南北共同連絡事務所と9・19南北軍事合意は、2018年に立て続けに行われた南北首脳会談によって決まったもので、いずれも文在寅（ムン・ジェイン）政権が対北朝鮮政策の治績として宣伝してきたものだ。
金与正氏の脅迫に韓国政府は即座に反応した。韓国統一部の呂尚基（ヨ・サンギ）報道官は緊急のブリーフィングで「境界地域の国民の生命と財産に危険をもたらす行為（ビラ散布）は中断すべきだ」「境界地域における緊張造成行為を根本的に解消できる実効性のある制度改善方策をすでに検討している」と明らかにした。さらに「法律整備計画を準備している」として「対北ビラ散布禁止法律案（仮称）」を推進していることを確認した。
青瓦台の高官も「北朝鮮へのビラ散布には断固として対応していくだろう」と述べた。韓国国防部は「民間団体による北朝鮮へのビラ散布は境界地域での緊張を高め、周辺に住む国民の生命と財産に危険をもたらす行為であるため中断すべきだ」とコメントした。
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