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この記事をざっくり説明すると…
- ハチドリはスペクトル色と非スペクトル色とを区別しているという仮説に基づく、3年間におよぶ研究に結論が出た模様です。
- 最新の研究によって、この驚くほど小さなハチドリが非スペクトル色を知覚する能力を備えており、人間の目には捉えることのできない色相を見ていることが確認されました。
ハチドリの存在は、自然界における驚異のひとつと言えるでしょう。糖を摂取することで生命を維持しながら(ときには昆虫も捕食しますが…)常に飛び回り、そして、人間には想像も及ばない色相を見分ける能力も備えていることがここに解明されたわけですから…。
ハチドリには「非スペクトル色」が見えています
ハチドリをはじめとする数種類の生物の目には、「非スペクトル色」までが見えていることが、米国科学アカデミーの機関誌である「米国科学アカデミー紀要(PNAS:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」に掲載された研究論文で報告されています。
ちなみに「スペクトル(spectrum)」とは、プリズムなどで分解された光を色の移り変わる順に配列されたもののことを指します。そして人間の目が感知できるのが、このスペクトルとして並ぶ赤・橙・黄・緑・青・藍・青紫(バイオレット)の7色。これを可視光と呼んでいます。いわゆる虹の色に含まれる色相です。ですが紫に関しては、ヒトの目が知覚できる唯一の非スペクトル色とされています。なぜヒトが紫を認識できるのか?は、「赤と青を感知する錐体(すいたい:カラーセンサーのような役割を果たす細胞のこと)が同時に働く結果によって…」と考えられています。
一方でハチドリは、「人間にとっての可視光のスペクトルには含まれていない色相まで感知している」と、その研究論文には記されているのです。
4つの錐体が違いを生み出します
ちなみにヒトには3種類の錐体があり、錐体は光が当たるとその感度に応じて信号を出します。3つの錐体が等しく反応すれば、その色は白もしくは無彩色となります。3種類の錐体から出される信号の反応に偏りが生じれば、私たちは色を感じるというわけです。
「紫は虹に含まれている」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、実は私たちの目が虹の中に捉えているのは実は正確な「紫」という色ではなく、「バイオレット」という青紫系の色なのです(ちなみにパープルは、赤紫系の色になります)。
これに対し鳥類や爬虫類には、「紫外線を知覚できる4つ目の錐体細胞が存在する」とする、いわゆる4色型色覚を擁する生き物であると考えられている。つまり、「3原色に紫外線が加わることで、鳥類の可視色の幅は私たちよりはるかに広い」と考えられるのです。
そこでそれを確認するため、矢面に立ったのがハチドリというわけです。ハチドリの目には、錐体が4種類あることがすでに研究によって考察されています。そして人間のほうは前述のとおり、3種類の錐体しかありません。4種類と3種類…。そこに大きな違いなどないようにも思えるのですが、色相を感知するとなると、この4つ目の錐体細胞の存在が決定的な違いを生み出すようです。
観察研究は3年間にも及びました
研究者たちは、ハチドリがどのように色彩を知覚するかを調べるために、コロラド州のロッキーマウンテン生物学研究所(RMBL)周辺に屋外拠点をつくり、野生のフトオハチドリ(学名:Selasphorus platycercus)の観察を行いました。可能な限り、自然環境に溶け込むようにつくられた野外観察設備を使った研究は、約3年間にも及んだそうです。
「鳥類などの知覚実験は、屋内の実験室で行なわれるのが一般的です。しかし、それでは鳥たちが実際の自然環境の中で、いかに色覚を用いて生きているのかという視点が見落とされてしまう恐れがあります」と指摘するのは、この研究を指揮したプリンストン大学の進化生物学者、メアリー・キャスウェル・ストッダート准教授です。
「野生生物の色覚について研究するために、ハチドリは最適な研究対象なのです。ほぼ糖質だけを摂って生きているハチドリは、花々の異なる色彩を感知するように進化を遂げてきました。さまざまな色の違いを即座に判断することで、ハチドリはこれまで繁殖し続けてきたのです」と、ストッダート助教は続けます。
研究施設付近の給餌器(きゅうじき)に設置した「バードビジョン」というLED装置に、例えば「紫外線+緑色」を掛け合わせた非スペクトル色の光を映し出し、ハチドリの反応を観察した様子が、プリンストン大学により発表されています。砂糖水、そして真水、2種類の餌をセットした給餌器を毎朝、日の出前にセットし、やってくるハチドリの観察を重ねたというわけです。
砂糖水の給餌器と真水の給餌器は、それぞれLED装置によって異なる色を発する仕組みになっていました。異なった色相がハチドリの行動に影響を与えることを確かめるため、給餌器の場所を移し替えるなど設置条件にも変化を与えてきたそうです。
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「対照実験(科学研究において、結果を検証するための比較対象を設定した実験)を行うことで、ハチドリがニオイや他の要素に影響されていないかを確認したわけです。野生のハチドリは、数時間のうちに新たな色相を見分けられるように学習することが分かりました。装置を使った実験は19回行われ、その間のべ6000羽に及ぶハチドリの反応を記録しています」
色相の違いによって餌を見分けました
実験の結果、ハチドリが色相の違いによって、砂糖水の給餌器と真水の給餌器とを見分けていることが考察できました。
「砂糖水の給餌器の“紫外線(UV)+緑色の光”と、ただの水の給餌器の“緑色の光”との違いは、ヒトの目では判断できません。しかしハチドリは、その違いを正確に見分けることができたのです。観察と実験を続けていく中で、この世界がハチドリの目にどのように映っているのかを、私たちも少しだけ垣間見ることができました」と述べているのは、論文の共著者であるハロルド・エイスター氏です。
その結果、「ハチドリは例えばUV+赤、UV+緑、紫、UV+黄色などといった人間の目では知覚できない非スペクトル色を見分けている」という結論が導き出されたのです。
3300種類に及ぶ羽毛や植物を用いた対照実験がなされた結果、この小さなハチドリが「自然界の色彩の多くを、非スペクトル色として知覚している」ということも分かりました。つまり、スペクトルの外にある色を知覚する能力が、「視覚を用いた採食」に極めて重要な役割を果たしている可能性が示されたわけです。
しかし結局のところ、ハチドリの目にこの世界がどのように映っているのか?は、人間である私たちには未知の領域となります。今のところは、「ハチドリの目には、人間の目では判別できない色相が見えている」ということが分かっただけに過ぎない…というわけです。ですが、今後のさらなる研究に期待するばかりです。
Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。
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