香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
中国政府の景気対策への期待継続
ハンセン指数 20,116.20 pt (▲0.27%)
中国本土株指数 6,877.21 pt (▲0.31%)
レッドチップ指数 3,831.75 pt (▲0.10%)
売買代金955億1百万HK$(前日1,034億1百万HK$)
香港ハンセン指数は反落し、前日比で0.27%安となった。中国経済の成長鈍化懸念がくすぶる一方で、中国政府の景気対策パッケージへの期待感も根強く、香港市場では後場にかけて方向感の乏しい展開となった。
中国国内では、新型コロナウイルスの感染者数が足もと、少人数にとどまっているもの、行動抑制は継続していることが懸念材料である。25日の中国本土の新規感染者数は460人と今年3月以来初めて500人を下回った。
一方、首都北京では足元の感染者数が45人(前日47人)とこの水準から下がらない。ここ1カ月余り続いているゼロコロナ政策の成果があがっていないこともマイナス材料である。
24日、深圳市政府は、消費の継続的な回復を促進するために独自措置を発表した。携帯電話、家電製品、自動車などを対象に、商品購入に補助金が支出し、年末までに市民の消費意欲を促進させるとのことである。
EV自動車については、1人当たり最大1万元(1500ドル)の補助金を支給する。また携帯電話やパソコンなどの家電製品についても、2,000元を上限に15%の補助金が支給される。
パソコン大手のレノボが通期の売上高で過去最高を記録
25日、世界最大のパソコンメーカーであるレノボ・グループ(992)が決算を発表し、第4四半期(22年1-3月)の売上高が167億ドルと、前年同期の156億ドルから6.8%増加した。3月までの通期決算では、売上高が前年比18%増加の716億ドル、純利益は前年比72.3%増の20億ドルと1994年の上場以来で過去最高となった。
ただ、昨年10-12月期(第3・四半期)の決算は売上高と純利益が過去最高を記録したものの、第4四半期決算ではオミクロン株の感染が中国で拡大した。ロックダウンが行われた地区の工場が閉鎖したことを受けて、7四半期ぶりの低い伸びとなった。同社株は決算発表を受け前日比で1%強上昇と上値が重い動きとなっている。
本日、引け後に第4・四半期決算および通年の決算を控えるEコマース中国最大手のアリババ(9988)は、今年の3月と4月の消費財の小売売上高が前年比で3.5%減少することを発表した。
新型コロナウイルスの流行の影響が主な要因であり、同社株は前日比で1%強下げている。中国本土のオミクロン株の流行はアリババの電子商取引にも悪影響を及ぼしており、近い将来はさらに企業業績の下押しにつながる見方が高い。
アリババの前四半期の売上高は前年比7%増の2,006億人民元、調整後の純利益は35%減の284億人民元になると予想されている。
足元アリババの株価は80香港ドルと20年10月につけた高値の300香港ドルから70%近くも株価を下げている。英銀大手のバークレイズは、アリババの利益率が2023年度に回復し、成長率は今年3月に底打ちして、今四半期はプラスになる可能性があると述べている。同社は目標価格を170香港ドルにオーバーウェイトとしている。
中国本土の株式市場は、午後の取引から終盤に掛けて上昇して取引を終えた。上海総合指数は続伸し前日比0.50%の3123.11、CSI300指数は同0.25%高の3993.04で引けた。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>
連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」
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