ロシアのウクライナ侵攻による小麦価格の高騰を受け、小麦粉の代替品となる米粉が注目され、輸出拡大の機運が高まっている。1〜4月期の輸出実績は前年同期比約2.5倍と大幅に伸び、すでに昨年1年間の輸出量を上回った。原材料に小麦を使わない「グルテンフリー」食品が健康に寄与するとの期待から需要は増加傾向で、円安も追い風になりそうだ。ただ、生産面での課題も多く、好機を生かせるかは見通せない。
農林水産省の統計によると、1〜4月期の米粉の輸出量は73トン。前年は新型コロナウイルス禍からの需要回復によるコンテナ不足で輸出が激減したとはいえ、4カ月分で前年実績(72トン)を上回った。内訳は米国向けが34トン、ドイツ21トン、オランダ8トンで、「パンや製麺用に高品質な日本の米粉が欧米で受け入れられた」(農水省)。
世界有数の穀倉地帯であるロシア・ウクライナ情勢の緊迫化による小麦価格の高騰も、米粉需要を押し上げている。日本での原料コストは小麦粉がキロ当たり約60円に対し米粉は約50円で、米粉の方が安くなった。各国でも小麦価格がコメ価格を上回ることもあり、食料安全保障の観点から小麦を輸入に依存する国ではコメや代替品へのシフトの動きもあるという。
また、小麦粉は食品に食感や味わいを提供する一方、含まれる「グルテン」というタンパク質がアレルギーや消化器疾患の「セリアック病」の原因にもなるとされ、世界では小麦粉を含まないグルテンフリー食品の需要も拡大。農水省によると、世界のグルテンフリー市場は2024年には100億ドルに達する見込みだ。
この成長市場を取り込もうと、国内ではグルテンフリーの認証制度の創設や日本貿易振興機構(ジェトロ)と連携した需要開拓が進められているが、米粉の国内生産量約4万トンのうち輸出されるのは現状1%にも満たない。
「各国が米粉に求める価値が多用で、輸出向けに求められる品質を確保した品種育成が難しい」(農水省)という事情があるほか、小麦粉のように安定的に大量生産できる製粉技術やコスト削減も不可欠で、輸出の一層の拡大に向けたハードルは高い。(西村利也)
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