【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 30,772.79 ▼208.54 (7/13)
NASDAQ: 11,247.58 ▼17.15 (7/13)
1.概況
米国市場は米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回ったことで米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め加速を警戒した売りが出て続落となりました。237ドル安でスタートしたダウ平均は朝方に466ドル安まで下落しましたが、その後持ち直すと昼過ぎには2ドル安まで下げ幅を縮めました。しかし、戻し切れないと再び下げ幅を広げ結局208ドル安の30,772ドルで取引を終え4日続落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も17ポイント安の11,247ポイントとなり3日続落となりました。
2.経済指標等
6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.1%上昇し1981年11月以来40年7ヶ月ぶりの高い伸びとなり市場予想を上回りました。また、6月の米財政収支の赤字額は前年同月比49.0%減の888億ドルとなりました。米連邦準備理事会(FRB)は米地区連銀経済報告(ベージュブック)で米経済活動について全体として緩やかなペースで拡大したとしています。しかし、いくつかの地区は需要減速の兆候が強まっているとし、5地区は景気後退リスクの高まりへの懸念を指摘しています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、資本財・サービスとコミュニケーション・サービスが1%以上下落し、ヘルスケアと金融も1%近く下げました。一方で一般消費財・サービスと生活必需品の2業種が上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄ではユナイテッドヘルス・グループ(UNH)とボーイング(BA)が2%を超える下落となったほか、ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)も2%近く下げました。また、セールスフォース(CRM)とハネウェル・インターナショナル(HON)、ダウ(DOW)、IBM(IBM)、スリーエム(MMM)、トラベラーズ(TRV)も1%以上下落しています。一方でナイキ(NKE)が1%を超える上昇となっています。
ダウ平均構成銘柄以外ではデルタ航空(DAL)が決算で1株利益が市場予想を下回ったことで4%を超える下落となりました。ツイッター(TWTR)は買収撤回を表明したテスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏を提訴したと伝わったことで買収が実現する可能性もあるとの見方から8%近く上げています。
5.為替・金利等
長期金利は米CPIの上昇率が市場予想を上回ったことで金融引き締めペースの加速し景気悪化を招くとの見方から相対的に安全資産とされる米国債が買われたことで0.04%低い2.93%となりました。一方で金融政策の影響を受けやすい2年債利回りが0.11%高い3.16%となったことで逆イールドが拡大しています。ドル円は137円台前半で推移しています。一時は137円台後半まで円安が進み1998年9月以来24年ぶりの円安水準を付ける場面もありました。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場が続落となる一方で円安が進むなど強弱材料が入り混じる格好となっていることから小動きでのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の26,500円を試すような動きがみられるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)
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